アレハザ村 ―黄金に染まる砂と海―

冒険日誌

ここから東に行けば、海に面したとても景色の良い村がある――
首都バレンシアでそう聞いた私は、再びラクダに跨り砂漠を渡る旅に出た。
石の壁に囲まれたバレンシアを出れば、たちまち砂の歓迎を受けることとなる。時おり起こる砂嵐によって、顔を覆った砂除けのベールの隙間から砂のつぶてが肌に当たった。
それでも私はラクダを歩ませる。美しい首都バレンシアを堪能した私は、そこで聞いた東の村の評判を信じていたから。
――特に夕暮れ時は涙を流すほどに。
その言葉も誇張だとは思えない。
いつしか周りの景色は一面の砂からヤシの木が生い茂る森となっていた。森の隙間から清流が覗き、涼しげな風を運んでくる。
そしてついに森を抜け、私の目の前に海が現れた。
時刻はちょうど夕刻に差し掛かっており、果てしなく続くかのような水面が夕暮れの太陽に染め上げらられ、眩く輝いていた。
右の方角に村が見えた。その村もまた強烈なほどの夕日を浴びて黄金色に輝いていた。
左の方角に砂浜が見えた。その砂の一粒一粒もまた、燦然と輝いていた。
そこにはバレンシアで見たような黄金は一切なかった。それでも全てが黄金だった。
ここまでの旅の疲れなど、とうに忘れていた。

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